不貞行為の探偵

「まゆこちゃん、苦しくはない?ね、いい子だから、もう少し我慢しているんですよ」そっとささやくと、少女は、母の腹の上を、無理に上の方へはい上って来た。暗くて見えはせぬけれど、せめて母の顔のそばにいたかったのだ。やがて、狭い箱の中で、母と子が重なり合って、窮屈な頬ずりをしていた。そうする為にま、お互の不貞行為の探偵が家の板にごつごつ当って、ひどく痛かったけれど、痛い位は何でもなかった。「坊や、堪忍してね。苦しいでしょ」「母さま、泣いてるの?怖いの?」まゆこは我が頬に母の涙を感じて、心配そうに尋ねた。「いいえ、泣いてやしません。もうなんともないのよ。今に探偵の小父さんが助けて下さるのよ」「いつ?」「もうじきよ」間もなく車はお寺についたらしく、家が運び出されまたしても、長たらしい読経が始まった。助手はその間中、人々に感づかれはしないかと、気が気でなかったが、まゆこ少女が、まるで大人のように用心深くしているので、別段のこともなく、やがてまた、家は葬式車内に運ばれた。「ああ、何て待遠しいことだろう。でも、もうほんの少しの辛抱だわ」助手は何よりも早く恋人の顔が見たかった。あの人の顔さえ見れば、さっきのような美しい盲想も、たちまち消えてしまうのだと思った。葬式車はまたぶるる、ぶるる走り出した。