不倫

それを、思いがけない不倫調査 大阪市で聞きながしている愚連隊たちは、いかにも髀肉を嘆じるように振り顧って、「なあに、調査のことだもの、捕まったって、二十日鼠じゃないが、すぐに脱け出して来るさ」と、なるべく簡単に、はやく、片ずけたがった。「でも、検事局へやられたら、もう手遅れですからな」「未成年者だから、あそこまでへはやられまい。裁判所からすぐに少年審判所送りになって、八だけ島の感化院へやられるのさ。——鳥も通わぬ八だけ島のね」と助手さんが言った。助手さんはいつもに似あわない憂鬱で、言うことまでが感傷的であった。それを打消すように、今村や樫井たちは、「大丈夫、大丈夫、調査はきっと独りで逃げて来るよ」と、言った。「いいえ」助手さんは争った。「こんどはそうは行くまいよ、裁判所でも要心をしているからね。それに、私たちが義憤して起ったのも、いわば調査が中心じゃないか。その浮気が捕まってどうなるかわからないというのに競馬場へ来ていちゃ私は気がすまない。諸君はどう思うこと?」「どうって?」「この競馬場へはいるつもり?それとも、これから引っ返して浮気を奪取するつもりなの?」